「顔を伏せて。怒らないから何か知ってることがある人手を挙げて。」という台詞に聞き覚えのある方はいないだろうか。
小学校の頃、本当に良くない事件があった時に先生がクラス全員の前でこう言って事件について知っている生徒を把握しようとすることがよくあった。特定の先生に限らずどの先生もこれをやっていたし、あるあるとして有名らしいので全国的な教員のノウハウだったのかもしれない。
そんな「顔伏せイベント」だが、数ある顔伏せイベントの中でも一つ印象的だったものがある。小学2年生の頃だ。ある日教室の壁に「死ね!」と書かれていたことがあった。誰かが見つけてクラス中が大騒ぎ。話は厳しい担任の先生のもとにも届き、下校前の終わりの会で大激怒していた。普段以上にブチギレた先生は顔伏せイベントを実行。しかし当然誰も名乗らなかった為「明日までに名乗らなかったら警察を呼ぶ」と言い終わりの会が終了。クラスは壮絶な空気で包まれていた。
クラスもざわつく、「警察」が出る程の大事に対し、当時の私は正直不謹慎ながらに少しワクワクし、一体誰が犯人なんだろう?と他クラスの友達と下校しながら話し合っていた。しかし翌日、鬼の形相で激怒していたのはどこへやら、先生は笑顔で例の件が解決したことを話した。どうやら放課後に犯人が泣きながら自白したらしい。そして優しい口調でこの件について今後一切触れないように、という旨をクラスみんなに伝えた。「警察」まで出るような、あんなに大事件みたいな空気だったのにアッサリ終わってしまい、犯人もわからず正直自分の中ではモヤモヤしたまま終わり、そして成人になった。
解決してから当面の間しつこくモヤモヤし続けていたが、今ならなんとなく何があったかわかる気がする。
多分犯人は何も考えずに書いてただけだったんじゃないだろうか?そして「死ね」という言葉を軽々しく使って欲しくなかった先生は警察を出したりいつも以上に激昂することでことの大きさを表現しつつタイムリミットを設けながら半ば脅すようにして事件の早期解決を狙い、狙い通り犯人が泣きながら出てきた、という流れだったんじゃないかと私は考えている。正直に白状した生徒に対して先生は多分そんなに怒らなかったのだろう。全て憶測だが、答えなんて今後出ることはないのだから勝手にあれこれ考察して納得するしかないのだ。憶測だが誰がやったのかも今ならなんとなくわかる。
先生もベテラン教師だったのもあってか一枚上手である。あの頃は怯えていたがよく考えたら教室の落書きごときで警察が動くわけがない。しかし小学2年生を脅すには十分過ぎた。だから事件は即座に解決した。
振り返ればさっさと事件を解決するための段取りが上手すぎる気がする。経験則から来ていたのか、それともちょっと冒頭に話が戻るがそういうノウハウが全国で共有されていたのだろうか......?
先生あるあるって、割と全国で共通だと思っている。読者の貴方も人生で一度は「授業を放棄し職員室に籠る先生」とか「皆さんが静かになるまで5分かかりましたって言ってくる先生」とか見たことがあるはずだ。学校という非常に独特な社会でのこれまた独特なルールや対応が一体何故全国レベルで共通しているのだろうか?独特な癖のある先生だと思っても探せば日本中に似たような先生がいるというのがなんとも不思議である。一体どこから生まれてどう拡散されたのだろうか?
そして教員といえば私の周りにも教員を目指す知人が一定数いる。みんな温厚な性格だが、どこかで学校ノウハウを叩き込まれて事件があるたび顔伏せイベントで解決を図ろうとしたり気に障ると教室を出るような先生になっていくのだろうか?
もしそうなったら、正直友人があの時嫌だった先生達と同じ仕草をするようになったことへの恐怖と悲しさを抱えつつも聞いてみたい。一体どこで教わったのかと。
